自炊(電子書籍化)をはじめるために必要な道具は3つです。
- 裁断機
- スキャナー
- OCRソフト
これらは、なくても他のもので代用できる場合があります。
また、仮にこれら3つをすべて揃えた場合、必要な費用は5万円~7万円程度です。(もっと電子書籍の普及がすすめば、いずれ価格は下がると思います)
基本的に「初期費用=必要な費用」だと考えて構いませんが、スキャナのクリーナーや裁断機の替刃など、継続して使う場合はメンテナンスの費用が必要です。
裁断機
電子書籍化をするためには、まず最初に持っている本の背表紙をザックリと切り落とさなくてはなりません。
背表紙の「のり」が付いている所を切り落とし、本をバラバラにして1枚の紙として扱える状態にします。
そのために必要なのが「裁断機」です。
裁断機を使えば、分厚い本の背表紙を簡単に切り落とせるので、作業がはかどります。
自炊をしている人の中で一番定番の製品が「プラス 断裁機 裁断幅A4 PK-513L 26-106」という裁断機です。
定価は56,700円ですが、販売価格は28,750円程度です。
私もこれを買いました。
裁断機にはもっと安価なものもありますので、どこのメーカーのものでも良いのですが、切れ味が悪く、裁断後の書籍に段差ができてしまったり、太い書籍を一度に裁断できず、何回かに分けて作業をしなければならないなどの問題があるようです。
裁断機は定期的に替え刃の交換が必要
裁断機は、一度買ってしまえば永遠に使えます。
しかし、何年も本の裁断をしていると、替え刃が劣化してきますので、定期的な刃の交換が必要となります。
刃の交換頻度は、どれだけ自炊をするかにもよりますが、本を切るだけならほぼ交換の必要はないと考えてよいでしょう。
失敗例として聞いたことがあるのは、本の背表紙に付いていた金具を切断してしまい、替え刃が傷ついたという話です。
背表紙に金具が付いているもの(ホッチキスが付いているパンフレットなど)を自炊する時には要注意です。
カッターナイフで裁断機の代用をする
自炊の費用をできるだけ抑えたい場合は、裁断機を買う必要はありません。
カッターナイフを使って、本の背表紙を裁断することも不可能ではないからです。
実際に裁断機の代わりにカッターナイフを使って自炊をしている人もたくさんいます。
しかし、私の個人的な意見としては、カッターナイフを使うよりも、素直に裁断機を買うほうが良いと思います。
- 本の裁断にとにかく時間がかかる
- 力を入れてカッターナイフを扱うのでケガをする恐れがある
- キレイに裁断できず、仕上がりがガタガタになってしまう
めったに自炊をしないのであれば、裁断機は必要ありませんが、定期的に電子書籍化をしたいと考えているのであれば、初期投資だと割りきって購入したほうがいいと思います。
スキャナー
背表紙を切ってバラバラになった本を、スキャナで読み込みます。
スキャナと言うと、コピー機のような複合機で1枚1枚スキャンしていくイメージを抱く人も多いでしょう。
しかし、自炊用のスキャナは大量の紙を連続で処理できるような作りになっているので安心です。複合機を使って1枚1枚スキャニングするのは非現実的なので、スキャナーの購入は必須です。(買わなくていい方法は後述します)
最も人気が高いのは「富士通 Scansnap」です。
Scansnapの上位機種S1500は、約35,000円程度、下位機種のS1300は約2万円程度で買えます。
メンテナンスにクリーナーが必要
大量の本をスキャンしていると、いずれレンズが汚れてきます。
ですので、綺麗なスキャニングを維持するためには、レンズクリーナーを購入し、定期的なメンテナンスをする必要があります。
クリーナーは2,000円程度で販売されており、クリーンシートを使って拭くだけなので簡単です。
OCRソフト
電子書籍の魅力はなんといっても『文章を検索できること』です。
電子書籍化されたデータの文字が検索できるのは、OCR(光学文字認識)という技術があるからです。
スキャナーを使って読み取ったPDFファイルのデータを解析し、解析された文字データをPDFファイル内に透明テキストとして埋め込むことで、文章の検索が可能になるのです。
OCRソフトは無理に買う必要はありません。
なぜなら、マンガを中心に自炊したい人なら、電子書籍の文章を検索できなくても全く問題ないからです。
文章の検索ができなくても、読めるだけで十分という人も、無理にOCRソフトを買う必要はないと思います。
また、前述したScansnapなどのスキャナを買うと、付属ソフトとしてOCRソフトのLite版が付いてくることがありますので、それを使うとよいでしょう。
その他にも、最近はEvernoteなど、電子書籍化されたPDFファイルを入れておくことで、自動的にOCR処理をしてくれるようなものもあります。(EvernoteのOCRは現時点では使い物にならないですが…)
しかし、市販されているOCRソフトを別途買うほうが良いのは言うまでもありません。
無料のソフトやサービスよりも、より日本語解析や英語解析に優れ、高機能だからです。
代表的なOCRソフトは2つです。
- 読取革命(パナソニック)
読んde!!ココ(エプソン)
どちらも1万円前後で購入できます。
ちなみに私は、「読んde!!ココ」を買いました。
読んde!!ココは開発終了に伴い廃盤となったので、読取り革命に乗り換えました。
自炊に必要な道具を一切買わずに電子書籍化する
以上、自炊に必要な、またはあったほうがいい道具を3つ紹介してきました。
自分の力で自宅でやるにはこれらを購入する必要がありますが、現在では自炊をするための様々なサービスがあります。
ここでは、初期費用を一切かけない自炊方法を紹介します。
自炊の森を使う
東京であれば、自炊の森というお店を利用することで、自炊ができます。
自炊の森では「裁断代行」サービスを展開しています。
カウンターで本を裁断してもらい、それを自宅でスキャンしたり、後述するスキャンブースで電子書籍にするという具合です。
自炊の森には「スキャンブース」が設けられており、そこに自炊に必要なスキャナなどが一式揃っています。
つまり自炊の森は、自炊に必要な道具と場所を提供しているということです。
自炊の森は現在、秋葉原店と池袋店の2店舗だけです。
もしかすると、今後こういったサービスを提供するお店が全国に増えるかもしれません。
自炊代行業者を使う
自分が持っている本を、宅配便で業者に送って、自炊の作業をすべてお任せしてしまうことができる「自炊代行業者」を使えば、手元に道具を用意しなくても電子書籍化ができます。
代表的な業者は、BOOKSCANという自炊代行業者で、業界のさきがけ的な存在です。
基本料金はおよそ1冊100円程度です。
それに加えて、ファイル名に本のタイトルを記載したり、OCR処理をしたい場合にオプション料金として追加費用が必要というシステムの所が多いです。
ただし、自炊代行業者はどこも注文が殺到しており、依頼してから実際に作業が終了するまで、何ヶ月待ちという状態が続いているのが現状です。
ということで
自分で自炊を行うと、費用と手間はかかりますが、柔軟にできますし、なによりも買った本を5分~10分程度で電子書籍にできるメリットがあります。
いちいち、裁断やスキャンが面倒、費用も抑えたい方は自炊代行業者を利用するのも良い方法だと思います。
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注:新しく買う場合は「製品版」をお選びください